家を失うほど、悲しいことはない
1995年1月に起きた阪神淡路大震災は、当時の私たちの家作りを一変させました。
家という家が、たった数十秒の揺れで無残に崩れゆく姿に、愕然としたものです。
“耐震こそ、住宅の最優先事項だ”そう確信しました。
しかし、時とともにその思いや危機感は薄らぎ、私たちの中にも「もう、あんなことはないだろう」と思うようになってきました。耐震の重大さを、お客様に強くPRすることも少なくなりました。
そこにやってきたのが、2011年3月11日の東日本大震災です。
地震と津波と原発事故による未曾有の大惨事は、再び日本中を、そして世界をも震撼させました。
数え切れない家屋やビルが、壊れた模型のように、津波にさらわれ、倒壊してゆく様は、家づくりに携わる私たちに強烈な印象を与えました。
住処を失い、途方に暮れる被災者の方々の言葉と、うつろな眼差しは決して忘れることができません。
さらに記憶に新しいのは、2016年に起きた熊本地震です。特に西日本に住む私たちにとっては地震の恐怖を改めて強く思い知らされる震災でした。
家を失うほど、悲しいことはないでしょう。
“お客様が人生をかけて建てられた注文住宅を家を守るために、出来ることは100%して差し上げたい”
住まいへの地震対策の大切さを、今も私たちは訴え続けています。
7年に1度、死者100名の大地震に襲われる国
日本やその周辺で起きる震度1以上の有感地震(体に感じる地震)は、近年では年間2,000回程度。1日5回以上も起きている計算になります。。体に感じない小さなものまで含めるともっと多くなります。
さらに明治以降に、100人以上の死者を出した大地震は21回(2019年8月現在)。平均して7年に1度は大地震に見舞われている、まさに「地震大国」なんです。
この数字をどうとらえるかは人それぞれでしょうが、私はやはり、皆さんには震災を現実の問題と考え、大切な家と家族を守るための施策をとっていただきたいと思っています。
そして、コスト面や手間を考えると、後施工による耐震補強よりも、家を建てる時に耐震構造を取り入れるほうが断然イイ。
「またそのうちに、必要になったら…」これは、絶対に損な考え方です。
他人事ではない、巨大地震の予測
私たちが住む奈良県には、さらなる大震災の危険が潜んでいます。
それは、東海から九州沖を震源域とする「南海トラフ巨大地震」です。
南海トラフは、四国の南の海底にある深い溝(トラフ)で、大規模な地震発生帯です。
ここには、東海地震・東南海地震・南海地震などの巨大地震が数百年周期で発生しており、近い将来、これらの地震が連動して発生する可能性が高いと予測されています。
中央防災会議の作業部会と内閣府の検討会が発表(2012年8月29日)した被害想定では、最大34メートルの津波と震度7の激しい揺れに見舞われ、最悪の場合は死者32万人、倒壊・焼失建物は約240万棟にのぼるとされています。
これは他人事ではありません。注文住宅を建てる皆様も、来るべき問題に万全の備えをしておくことをおすすめします。
データ出典
- 気象庁 過去の地震津波災害
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/higai/higai-1995.html
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/higai/higai1996-new.html - 南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku/pdf/2_1.pdf - 都府県別市町村別最大津波高一覧表<満潮位>
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku/pdf/1_2.pdf